調査結果
国民生活センターのテスト結果
エンジン式(排気量25.4cc)の草刈機に、最寄りのホームセンターで入手できたチップソー刃(3種類)、のこ刃(2種類)、8枚刃(2種類)を取り付け、コンクリートブロックに衝突させて刈刃の欠損状態を調べた。その結果、チップソー刃(1種類)で8,000回転と11,000回転いずれの場合も欠損が認められた。その他のチップソー刃、のこ刃、8枚刃に欠損は認められなかった。その他、衝突の際に刈刃から生じたと思われる金属粉のほかにも鉄分を含むと考えられる小さなコンクリート片、コンクリート粉末も飛散していた。
以上のことから、高速回転のチップソー等の刈刃が石や金属等硬い物に当たると刈刃が破損して周囲に破片が飛散することが確認された。刈刃の破片が目に入ると、場合によっては目に重大な危害を及ぼすことが予想された。また、欠損した金属片だけでなく、被衝突物の破片やより粒子の細かな金属片や石なども飛散することがわかった。これらも目に入れば危害を及ぼす可能性があることがわかった。
注意表示
草刈機のメーカー、刈刃のメーカーで、刈刃の破片、飛石等による事故に対する警告表示の内容・用語等が不揃いでわかりにくい。
草刈機等に関する安全基準
草刈機は農業機械に関する安全装備の鑑定基準の対象となっており、安全鑑定を受けた商品にはシールが貼られるようになっている。ただし、安全鑑定を受けるかどうかは強制でなく任意である。なお、草刈機本体については、安全鑑定に定める一般的安全基準以外、業界で定めた安全基準は無い。
のこ刃、切込刃(4枚刃、8枚刃、12枚刃)の刈刃については、JIS規格(草刈機用回転刃 JIS B9212)で定めているが、最近多数販売されているチツプソー刃等その他の刈刃についてはJIS規格が無い。
眼科専門医からの情報
眼科専門医によると、高速で回転する刃が、石等に当たって刈刃の破片や金属片等が飛び、目に当たると目の奥まで到達し、目の組織を破壊し視力を奪い、視力の回復が難しくなる可能性が高くなり失明に至るとのこと。
症状としては、目の表面(角膜の表面)の傷のときは目にゴミが入ったときのようにゴロゴロした痛みを伴なうが、むしろ軽症の場合が多い。一方、角膜を突き抜けたときは、よほどひどい傷の場合は即見えなくなるが、痛みを伴なわなかったり、痛みが少ないことがある。また、角膜より奥に小さい金属が入った状態で、痛みを伴なわないため気付かずに放置しておくと、半年から1年位経過してから「鉄錆症」(目に入った鉄片に錆が発生して、目内に錆が沈着した状態)に至り手術しても視力回復が困難になることが多い。